2014年11月28日金曜日

島根県立隠岐島前高等学校から見る、今後の千種町と千種高校 

皆さんは、「島根県立隠岐島前高等学校」をご存知でしょうか?


島根県は松江市からフェリーで3時間、隠岐の島にある高校です。

隠岐諸島・中ノ島に位置する島根県海士町にある高校で、中ノ島は日本海に面する島根半島の沖合、約60キロメートルにある面積33.46平方キロメートル、周囲89.1キロメートルの離島。人口はおよそ2400人だそうです。

かつて7000人が暮らしてした海士町ですが、多くの若者が仕事を求めて島を出て行きました。その結果、少子高齢化が急速に進み、65歳以上の高齢者が海士町は4割を占めることになりました。

「できることならば、地元の高校に進学させたいが・・・」、大学進学のために教師が多く、理系の受験科目を勉強させるために、親元を離れて本土の高校に進学する生徒も多かったらしい。一人暮らしのための高額な費用がかかることから、一家で本土に引っ越しされる方も多かったそうです。子供の教育のために島を出ていかなくてはならない状況があったようです。

つまり、島前高校が廃校になれば、過疎化、少子化に一層、拍車がかかってしまうことになる。そういう悪循環に陥っていました。

どこかで見たり、聞いたりしたような・・・。千種の状況に非常に似ています。

この隠岐島前高校が離島でありながら、生徒数が2008年度の89人から2014年度の156人へとV字回復して注目をされています。

私は、この隠岐島前高校に千種の、そして千種高校の今後を考える上でのヒントになる部分があるように思えてなりません。

隠岐島前高校もかつて、統廃合の危機に直面していました。1997年に77人いた入学者は2008年には28人に落ち込み、千種町同様、高校がなくなれば、15歳以上の若者がいなくなり、地域にとってのダメージも大きいものでした。


【以下、朝日新聞デジタルより引用】

「島の最高学府を守れ」。島前の3町村長や住民らが08年に立ち上がり、高校の魅力化構想をつくった。通いたい高校にすれば生徒は増えるはず。「ピンチはチャンスだ」と考えた。いくつもの試みが「逆転の発想」から生まれた。


 「小さいことはよいことだ」と10人前後の少人数習熟度別授業を始めた。「田舎は都会にはない自然や人のつながりがある」と地域に根ざしたカリキュラムをつくった。


生徒は船のダイヤ改定案から、島の太陽光発電まで考える。「仕事がないから島に帰れない」ではなく、「仕事をつくりに帰りたい」人を育てようと、課題を解決する力をつける教育を目指した。


 島にはコンビニもゲームセンターもない。「だからこそ工夫する力や粘り強さが磨かれる」と都会から生徒を受け入れる「島留学」を始めた。この春入学の「留学生」は31人。8月の島での見学会には全国から親子140人が参加した。


 島根県立大学連携大学院の藤山浩(こう)教授(中山間地域研究)は話す。「日本の高校は『蜘蛛(くも)の糸』の主人公のように、成長神話の糸にすがり、人より先に上へ上へと上がっていけと教えてきた。『東京すごろく』をよしとして生徒を都会に送り続けた。島前高校は人とつながり地域で生きる別のモデルをつくっている」


 高校がいま取り組むのはグローバルな視野を持ちながら、足元のローカルな地域社会をつくる「グローカル人材」の育成だ。10月には2年生がシンガポールに5日間出かけ、シンガポール国立大生に島の課題を英語で発表する。離島での資源リサイクルは、冬場に観光客に来てもらうには……。「都会の島のシンガポールで、田舎の島の高校生が挑む。おもしろいじゃないですか」と常松徹校長。


この記事を読んだとき、今の千種町に、千種高校に当てはまる部分が多くあると感じました。おかれている状況や環境、「高校のグローバルな視野を持つ」などは千種高校でも実践されている。

『「仕事がないから島に帰れない」ではなく、「仕事をつくりに帰りたい」人を育てようと、課題を解決する力をつける教育を目指した。』 私達、ちくさっ子を育てる会の目標としている、「ちくさを学び ちくさを誇り ちくさを心の拠り所となる子供を育てる」はまさにこのことを表しているともいえる。(仕事がないから千種に帰れないではなく、仕事をつくりに千種に帰りたい と。)

島には島前高校生向けに公営の学習塾「隠岐國学習センター」もあり、有名企業出身者がコーディネーターや講師として指導されており、国公立大学へ進学する生徒も増えつつあります。

島外からの生徒の確保・魅力ある学校づくり・学校と地域が連携したまちおこし・ふるさとを思い、ふるさとに貢献できる生徒を育てる・・・・どれをとっても千種町・千種高校が課題としたり、取り組んでいる事柄であると思う。

隠岐島前高等学校の取組みから、今後の千種町や千種高校の、また千種の連携教育やまちづくりのヒントがあるように思います。

ぜひ一度、隠岐島前高等学校の取組みについて興味を持ってHPをご覧ください。

隠岐島前高校 魅力化プロジェクトHP
(http://miryokuka.dozen.ed.jp/)